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理事長挨拶

久留 一郎一般社団法人
日本痛風・尿酸核酸学会 理事長

(独立行政法人国立病院機構 米子医療センター 病院長)

久留 一郎


日本痛風・尿酸核酸学会 理事長からのご挨拶

 新型コロナ感染症のパンデミックも収束し、私たちの臨床研究活動も正常化しました。第57回学術集会が荻野和秀会長のもと「未来へ そして世界へ」というテーマの基に鳥取市で開催されました。「日本から世界へ発信した新知見」と「若手研究者による痛風・尿酸核酸領域のアップデート」という2つのシンポジウムがおこなれ、学会の歩みの温故知新の企画であり、会長の理念が凝集した学術集会でした。来る2月には、第58回学術集会が大山博司会長のもと東京で開催されます。「遺伝と環境への総合的アプローチ」というテーマで開催され、痛風や高尿酸血症の発症や進行において、遺伝と食生活や運動習慣などの環境因子がどのよう関わっているかを総合的に検証されます。シンポジウムとしては『痛風・高尿酸血症の管理に及ぼす遺伝と環境のコラボ』と『医療現場における働き方改革の現状は?』が議論されます。大いに議論が盛り上がると思います。
 昨年からガイドライン改訂委員会により「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン改訂第4版」作成が始まりました。それに連動して学術交流委員会が他学会との交流を促進しており、第58回学術集会では日本痛風・尿酸核酸学会、日本高血圧学会ジョイントシンポジウムが開催され尿酸に関して情報を交換し、3月には日本循環器学会で尿酸に関する教育セッションが開催される予定です。これらの学術交流を通して他学会との連携が強化されることを期待します。痛風・尿酸・核酸研究に興味を持つ若手研究者が集う若手委員会ではwebを用いた活発な学術交流を続け、オムニバス形式で尿酸に関する日本語レビュー論文作成などを通して若手医師に当学会の魅力を感じて貰えるように活動しています。オンラインでのweb講演会も年2回定期的に開催され、会員の基礎・臨床研究のアップデートに役立っています。これらの委員会活動により異分野融合による基礎・臨床研究の推進が進んでゆき、延いては学会員の増加に繋がってゆくことを期待しています。
 さて、生活習慣の欧米化に伴い、痛風患者数は130万人、高尿酸血症患者は1000万人(尿酸降下薬使用ベースでは700万人)と経年的に増加しています。高尿酸血症・痛風は脳・心・腎・血管障害と密接に関連していますが、臓器障害のリスクであるかに関しては議論のあるところであり、ガイドラインで尿酸を扱っている様々な学会では高尿酸血症は残余リスクという位置づけになっています。ご存知のように2020年に「脳卒中・循環器病対策基本法」に基づいて「循環器病対策推進基本法」が成立し、高尿酸血症は高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病に並ぶ循環器疾患の危険因子と記載されています。このように高尿酸血症・痛風は関節炎、尿路結石症、痛風腎のみならず、脳・心・腎・血管障害に深く関わっており、国民に広く高尿酸血症・痛風の合併症並びにその予防法について知っていただく意義が大きくなっています。今後の学会の活動は学術集会を中心とした学問的な活動に留まらず、予防啓発、患者連携、産官学連携、調査研究、国際交流、人材育成、医療連携など多様な活動が必要となり、これらに対応するプラットフォーム作りが必要となります。当学会として果敢にこの課題に挑戦したいと思います。是非多くの方に、尿酸についての知識や痛風・高尿酸血症の治療・予防に興味を持っていただき、気軽に学会総会に参加して、これらの課題について議論出来れば幸いです。どうぞよろしくお願い致します。

令和6年1月5日
一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会
理事長 久留 一郎

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