2018年
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』の発刊について
この度,『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』を発刊することができました。
2002年に世界で初めてのエビデンスを網羅した『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第1版)』(細谷龍男委員長)として作成され,痛風の診療を主体としたガイドラインが完成しました。その後,欧米のリウマチ学会から高尿酸血症・痛風治療に関してのガイドラインが相次いで発刊され,高尿酸血症と臓器障害に関連する疫学並びに介入研究の報告が急速に増加しました。2010年に『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)』(山中寿委員長)が発刊され,特に高尿酸血症を尿酸塩結晶による尿酸沈着症と無症候の高尿酸血症に分けて,前者に関しては治療の開始基準と治療目標を定めるのに対して,後者に関しては臓器障害ならびに生活習慣病のマーカーとして扱うことが決められました。
その後に欧米のリウマチ学会がガイドラインの改訂を行い,無症候性高尿酸血症の尿酸コントロールを痛風や腎障害および心血管イベントの予防の目的では行わないとし,わが国のガイドラインとは異なる点が認められます。
近年,わが国のガイドライン作成がMindsのガイドライン作成法に準じ,クリニカルクエスチョン(CQ)に対して網羅的な文献検索によるエビデンスの評価に加え,患者の価値観・希望や医療経済を鑑みて作成することが主流となっています。そこで無症候性高尿酸血症の段階から治療介入を行うわが国の現状を,エビデンスの益と害のバランス並びに患者の価値観や医療経済の観点から検討することは重要です。
これらを踏まえ,『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』を作成し発刊しました。主な改訂点として重要な治療に関する臨床課題から7つのCQとその推奨を示しました。また高尿酸血症・痛風の診療マニュアルには高尿酸血症の新規病型分類・動脈硬化・心不全・腫瘍崩壊症候群・小児の高尿酸血症・医療経済の項目が新規に追加されました。本ガイドラインを臨床にお役立ていただければ幸甚です。
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』
作成委員長 久留一郎
ガイドラインについてはこちらをご覧ください。
https://www.tukaku.jp/guideline/